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『長老、本気ですか?!山賊のボルボラを代官にするなんて!』
『…そうすれば、少しは大人しくなるかもしれん。』
『冗談じゃない!アイツは、母さんを殺して父さんまでっ!私は、そんなの許せない!!』
『ジル、もう決まったことじゃ。村全体の事を考えれば、これが最良なんじゃ。』
『……。』
「…―ちゃん、姉ちゃん!」
「ん…、チャカ?」
「姉ちゃん、寝ぼけてないでシャンとしろよなぁ。今日は、レジスタンスの皆と話し合いをする日だろ?」
「そうだった。すぐ、支度する。」
今日は、夢見が悪い。ジルは、ため息をついた。鏡の中には、パッとしない表情(カオ)の自分がいる。金髪に青い瞳…弟のチャカが黒髪で黒い瞳なものだから、私達姉弟は、余り似ていない。私が父親似で、チャカが母親似なだけなのだけれど…。
その両親も、すでに亡くしていた。この村は、山賊上がりの悪代官ボルボラに怯えながら、恐怖によって支配されていた。ここ『ノーブル』は、陰気で閉塞感に満ちている。ジルは、それがたまらなく嫌だった。力で押さえつけられ、弱者は泣くだけの日々…。
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