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「姉ちゃん!!」
ロストールの中央広場。“千年樹”と呼ばれる大木があることで有名だ。ここを起点に、貴族街・市民街・スラムに分かれている。身分制度が強く残るロストールでは、身分によって住める場所も大きく異なっていた。
「姉ちゃん!大丈夫だったか?突然王城に連れていかれたから、心配したぜ。」
「平気だ。ただ…。」
「ただ?」
「レムオンの義妹(イモウト)になった。」
「ハァ?!姉ちゃんが、アイツの?じゃあ…―。」
「ああ。今日から、私はノーブル伯ジル・リューガということらしい。」
「チョット待って、訳がわかんねぇ。」
「あー、詳しい話しは宿で話そう。あんまり、人に聞かれたくないし。」
ワンダラーバーズ。世界中に店舗を構えるフゴー商会の宿屋。二人は、部屋に入る。ジルは、簡単にいきさつを弟に話した。
「じゃあ、姉ちゃんはレムオンの身代わりって訳か。」
「そうなるな。でも、ホントなら私もチャカも処刑されるトコロなんだ、力になってあげなきゃ。」
「…なぁ、姉ちゃんは、姉ちゃんだよな?」
「ハァ?」
「姉ちゃんは、貴族になっても俺の知ってる姉ちゃんだよな?!」
目の前の弟は、変に慌てているようだ。
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