†義兄と義妹(アニとイモウト)†

2/32
前へ
/63ページ
次へ
「姉ちゃん!!」 ロストールの中央広場。“千年樹”と呼ばれる大木があることで有名だ。ここを起点に、貴族街・市民街・スラムに分かれている。身分制度が強く残るロストールでは、身分によって住める場所も大きく異なっていた。 「姉ちゃん!大丈夫だったか?突然王城に連れていかれたから、心配したぜ。」 「平気だ。ただ…。」 「ただ?」 「レムオンの義妹(イモウト)になった。」 「ハァ?!姉ちゃんが、アイツの?じゃあ…―。」 「ああ。今日から、私はノーブル伯ジル・リューガということらしい。」 「チョット待って、訳がわかんねぇ。」 「あー、詳しい話しは宿で話そう。あんまり、人に聞かれたくないし。」 ワンダラーバーズ。世界中に店舗を構えるフゴー商会の宿屋。二人は、部屋に入る。ジルは、簡単にいきさつを弟に話した。 「じゃあ、姉ちゃんはレムオンの身代わりって訳か。」 「そうなるな。でも、ホントなら私もチャカも処刑されるトコロなんだ、力になってあげなきゃ。」 「…なぁ、姉ちゃんは、姉ちゃんだよな?」 「ハァ?」 「姉ちゃんは、貴族になっても俺の知ってる姉ちゃんだよな?!」 目の前の弟は、変に慌てているようだ。
/63ページ

最初のコメントを投稿しよう!

51人が本棚に入れています
本棚に追加