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「俺、耐えられそうにないんだよ!姉ちゃんが貴族になって、俺の知らない姉ちゃんになっちまったら、そう考えたら、俺…―。」
「バカだな。私は私、何も変わらないよ?」
ジルは、金の髪をサラリと揺らし微笑んだ。キラキラと輝くような青い瞳は、その言葉が偽りではないことを物語っていた。
「ハハハ、そうだよな。姉ちゃんは、変わらない俺の姉ちゃんだよな。…そうゆうことなら、ボロが出ないようにしっかり勉強もするんだぜ?それに、早く休まないとなっ。もともとそんなにたいした美人じゃないんだ…―。」
ボカッ!!
「痛っー!」
「たいしたことなくて、悪かったな。」
姉に殴られ頭を押さえるチャカだったが、いつもと変わらない調子の姉に安心したのか、とても嬉しそうだ。ジルとチャカは、顔を見合せると笑いあった。
何があっても変わらない。私たちは、実の姉弟じゃないか。
夜、1人部屋のテラスに出た。空には、満天の星が煌めいている。
遠くの丘陵に、今朝レムオンに連れられて行った王城が見える。あの下辺りに、レムオンの屋敷があるんだっけ…。
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