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「じゃあ、三時間後に冒険者ギルドだな。遅れんなよ!」
すでに後ろ向きに歩きだしている姉は、手を振った。
『か・かわいい~。』
洋服店で、ホンワリとした表情で服を見つめるジルがいた。ノーブルを出るとき、全て置いてきてしまったから、少し位は買いそろえないと。色々迷って、試着を繰り返したあげく、選んだのはシンプルなグリーンのミニワンピだった。鎧を着込む事を考えると、これが一番だろう。
チャカと別れて一時間半、ボディーアーマーに身を包む女性冒険者が出来上がった。
「うん、こんなもんだな。」
買い物を満喫し、ジルはご機嫌だ。
「そうだ。しばらくロストールを離れるし、レムオンに逢っておくかな。」
時間もある。ジルは、リューガ邸に向かって歩き始めた。
「これは、お帰りなさいませジル樣。」
「ただいま。」
門衛が、笑顔でジルを迎える。ただでさえ広いリューガ邸、部屋を移動するには執事のセバスチャンの助けが必要だった。
「兄さん、いる?」
「ええ、レムオン樣なら自室にいらっしゃいますよ。ご案内しましょう。」
そう言って微笑むセバスチャンの後をついていく。
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