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「その格好、お似合いですよ。」
「そうか?ありがとう。」
「いよいよ、出発するのですね。」
「うん。出る前にレムオン、兄さんに逢っていこうと思って。」
「それは、レムオン樣もお喜びになります。ちょうどお帰りになっていますから。」
長い廊下の先、美しい色とりどりの花が咲き誇る中庭を抜けた先に、レムオンの私室があった。私室、とは言っても何部屋も持っているらしい。その内の1つの扉を叩く。
「なんだ?!」
「…レムオン樣、ジル樣がいらっしゃいました。」
「…ジル、入れ。」
ひどく不機嫌な声がした。が、彼女を呼ぶ声は幾分穏やかだった。
「お前か。フン、格好はだけなら一人前になったな。」
「なんだよっ!先ずは形からって言うだろ?」
「そうか、まぁ良く似合っている。」
「うん、ありがとう。」
「別に誉めたわけじゃない、リューガ家の者らしく、すこしは樣になったと言ってるのだ。」
レムオンは、ジルから顔を背けた。
「それにしても、全く話しにならん!」
「なんの事?」
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