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「あの時は、ごめん。まさかエストの兄さんがレムオンだとは、思わなかったんだ。」
ジルは、頭をかいた。
「フフフ、これからよろしくね。僕、ジルに伝えたい事があったんだ。エンシャント近くにある“賢者の森”を知ってるかい?」
「ううん。」
「森には賢者様が住んでいて、運命に選ばれた者だけが、逢うことが出来るんだって。そう聞いて、真っ先にジルを思い出したんだ。」
エストは、目を輝かせて話を続けた。
「君は、何か普通の人とは違う気がするから行ってみると良いよ。僕は、“闇の神器”の研究をしているから、これから、遺跡とかで逢えるかもしれないね。」
「闇の…神器?」
聞いたことの無い言葉だ。
「先人類の残した強力な魔導器だよ。僕みたいに非力な者でも、強力な力を持つ戦士になれたりする。」
「エストは、強くなりたいのか?」
「違うよ。僕は、その力を別のことに利用できないか考えてるんだ。人々の暮らしが、今より楽になるように。」
「そうなんだ。」
ジルは、感心してエストを見た。レムオンと違って見るからに優しい感じの少年だ。貴族には珍しく、鼻につくような気取りが無い。
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