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「じゃあ、お互い頑張ろうね。またね、ジル!」
手を振り走り去るエストに、ジルは笑顔で手を振り返した。
「エンシャントか…。」
少し考えこんで、ジルは再び駆け出した。
「姉ちゃん、遅い~!」
「悪い。」
「で、初仕事は何にする?」
「行きたい場所があるんだ。エンシャントの方へ行きたい。」
バイアシオン大陸。肥沃で広大な大地を持つこの大陸は、“分断の山脈”と呼ばれる南北を分かつ山脈を境に、北のディンガル帝国南のロストール王国とに、大まかに分かれていた。エンシャントは、ディンガル帝国の首都だ。
「じゃあ、この手紙の配達くらいがいいよな?」
「そうだな。じゃあ、これにしよう。」
足取りも軽く、二人は冒険者ギルドを後にした。
「姉ちゃん、そこのかどを曲がってみようよ。」
「なんで?」
「なんでって言われても…ほら、冒険者は情報をイロイロ集めるもんだろ?」
「要は、観光したいんだ?」
「姉ちゃんだって、見たいだろ?ノーブルの田舎町なんかとは、全然違うんだからさ!」
「まぁね。」
農村の田舎育ちの二人には、正直大都市ロストールは非常に魅力的だった。
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