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「あの、エルメスさん。娘さんも冒険者なんですか?」
「いいえ、アイリーンは騎士になる夢を叶えると言って出ていってしまったの。…噂では、大貴族リューガ家の御息女ノーブル伯が騎士になられたらしいけど、それは異例中の異例です。女は騎士になれないロストールを出て、他を探すと言ってね。」
「そ・そうなんですか。」
まさか、ここで「私がノーブル伯です。」とは、とても言えない。
二人は、お茶の礼を言うとそうそうにエルメス家を後にする。
「姉ちゃん、やっぱ大変なヤツの妹になっちまったな。」
「そうみたい…しっかりしなきゃレムオンに殺されそうだな。…じゃ、行こう!」
「兄さん。」
「ああ、エストか。」
「今、ジルに会ったよ。」
「…あの女、まだロストールをふらついていたのか。」
「フフ、兄さんも良い妹を選んだね。」
「フン、使えなかったらすぐ始末する。」
「ジル、スゴく綺麗な瞳をしてるよね。きっと、兄さんを助けてくれるよ。」
「どうだかな。」
リューガ邸、レムオンの私室に顔を出したエストは、兄の様子を楽しそうに見つめた。
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