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「そうだわ、聞きましたわよ。レムオン様に妹君がいらっしゃったと、宮中が大騒ぎしていますわ。」
「さすが、お耳の早いことだ。」
「うふふ、皆が話しているのです。知らない人などいませんわ。」
輝くように眩しい金髪は腰より長く伸び、仕立ての良いグリーンのドレスがよく似合っている。誰からも愛され“光の王女”とも呼ばれている彼女は16歳の少女だが、9歳年上の婚約者を持つ身だった。
「妹君がいらっしゃるなら、早く教えてくださればよかったのに。聞けば、私とそれほど変わらない年齢だそうですね。良いお友達になれますわ。」
確かに、ジルが1・2歳上になるが近い年齢か。
「リューガ家の者と親しくしては、母君が良い顔をせぬだろう?」
「関係ありませんわ。私が誰と親しくしようと、私の勝手ですもの。」
「ファーロスの雌狐にも、手に負えぬ者がいるようだな。まぁ、機会があれば紹介しよう。」
「約束ですわよ。」
レムオンは、微笑み去って行くティアナの後ろ姿を見送った。ティアナは政敵の娘だ…──だが、レムオンにとっては割り切れない想いを抱く相手でもあった。
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