51人が本棚に入れています
本棚に追加
/63ページ
ジルとチャカの二人は、この日一晩オルファウスの家“猫屋敷”に厄介になり、久しぶりの来客だからと彼が振る舞った手料理を楽しんだ。次の朝、オルファウスは旅の手伝いをすると言って、転送器と呼ばれる大掛かりな魔導装置を見せてくれた。
「この子を使えば、遠く離れた仲間をこの猫屋敷へ呼び出す事が出来ます。貴方に共に旅する仲間が増えたとき、きっと役にたつでしょう。」
「色々ありがとうございます、オルファウス様。」
「ジル、世界を見て、そして多くを感じて下さい。世界は、様々な顔を貴方に見せてくれるでしょう。よい旅を。」
「姉ちゃん、やっぱ賢者様の頼みは引き受けるのか?」
「そのつもりだ。」
家を出てすぐ、チャカが足取りの軽い姉に尋ねる。
「だろうなぁ、姉ちゃん美形に弱いもんなぁ。」
ゴツン!!
「痛っ~!姉ちゃん、俺の頭が悪くなったら姉ちゃんのせいだぜ!」
姉の鉄拳に、頭をかかえるチャカ。
「困ってるんだ、助けて当然だろ?しかも、村を焼き払うような魔人の手に危険な魔導器渡せないだろ?ま、美形の賢者様の依頼なら断る理由も見付からないし。」
最初のコメントを投稿しよう!