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千年樹前広場の噴水。闇夜の中、月明かりを反射し輝いている。
ブゥン!
不意に、嫌な音がした。それと同時に現れたのは、漆黒の大きな巨人。剣を構える暇もなく、ジルは吹き飛ばされた。
「キャア!」
巨人の戯れに繰り出したような一撃だったが、ジルにとっては痛烈で力無く後ずさるのが精一杯だった。
『こっちから悲鳴が!』
『!ヴァイ援護して!!』
貴族街の方から、同じ顔をした自分と同じ歳くらいの女の子が二人、駆けてきた。彼女達は、巨人とジルの間に立ち塞がった。
自分には真似できないほど素早い身のこなしで巨人に斬りかかるも、その大きな腕に弾かれた。
「ヴィア!!」
「…大事な妹に手を出すな!」
声と共に現れたのは、白い服を着た青年だ。彼は、眩い光を巨人に放ち、瞬く間に消し去った。
「お兄ちゃん!」
「兄さん、だ。」
「ごめんなさい兄さん、無理させちゃって。あの巨人は一体?」
「闇の巨人。」
「世界の終わりに現れると言われる、あの?でも、どうして…。」
「大方、そいつの無限のソウルに惹かれて現れたのか。それとも、エルファス様の力か。」
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