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「自分で着替えるから、平気だ。」
「そう言われましても、レムオン様より頼まれていますので。」
「ジル様、この機会にお体のサイズを測らせて戴きますね。」
「何故だ?」
「たまにとはいえ、こちらの邸にお帰りになられるのですから、何着か部屋着を仕立てるようにと執事のセバスチャンから頼まれました。」
「今日は既製の服をご用意しますね。その間に、今着ておられる着衣を洗濯いたしますから。」
「あ、ああ。」
メイドと洋服の仕立て屋に囲まれ圧倒されるジル。同じ人間なのに、こうも生活が違うとは。
「う、わぁ~。」
普段、男言葉で女らしい言動とは無縁のジルだったが、目の前に広がる大理石のバスルーム、乳白色のお湯に浮かぶ色鮮やかな真紅の薔薇の花弁、広がる薔薇の香りを前にして、すっかりただの少女に戻っていた。ここにチャカがいれば、姉の変貌ぶりに狼狽していただろう。
「こんな贅沢していいのかな?兄さんって、毎日こうなのかな?…大貴族、なんだな。」
しなやかな肢体をタップリの泡で洗い流す。普段プレートアーマーで隠れて目立たないが、意外に豊満な胸を揺らしながら鼻唄混じりに身体を洗うジル。
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