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マズイのが出てきた。今まで、何人もの村人を飲み込んだ化け物だ。
「くそっ!ボルボラめ、こんなやつに食われてたまるか!」
「おい、女、助太刀してやる。」
不意に、頭上から声がした。いつの間にか、後ろに長身の男が立っている。黒い瞳、表情の読めないそれでいて整った顔…黄金に輝く金髪が印象的だ。男は、チラリとジルを見る。
「あ、ああ。」
ジルは、剣を構えた。
フッと空を切る音がする。ジルが動くより速く、男は動いた。流れるようにしなやかな動き、鋭い斬撃は、モンスターを容赦なく切り刻む。
「二刀流?」
男は、両手に剣を構えていた。男と、目があった。ジルは、妙に慌てて視線を外した。
勝敗は、一瞬だった。ジルやチャカが動くまでもなく、男は鮮やかな手際でモンスターを倒す。
「やったぜ!ボルボラ自慢の戦闘モンスターをやっつけたぜ!!」
「リベルダム製の戦闘モンスターか。なぜ、こんな所に?」
「ここの領主は大貴族のリューガ家だ。ノーブルなんて小さな田舎町、貴族のボンクラ領主は見ちゃいない。それをいいことに、代官のボルボラはやりたい放題だ。重税かけて私腹を肥やし、溜め込んだ金であいつを買ったんだ。」
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