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「変、じゃないか?」
「お似合いですよ。」
用意されていた純白のワンピースに袖を通す。これだけ女らしい服を着たのは、初めてかもしれない。
「絶対、兄さんに笑われそうだ。」
レムオンが帰るまで、本を読みながら長椅子に寝転んでいたジルは、いつの間にか眠ってしまったらしい。
「…い、おい。やっと起きたか。」
「ん、…お帰りなさい、兄さん。」
「ああ。…しかし、馬子にも衣装か。変わるものだ。」
「褒めてくれてるのか?けなしてるのか?」
「好きな方を選ぶんだな。さて、食事にするぞ。しっかり、マナーを叩き込んでもらうから、覚悟するのだな。」
「ハァ。」
並べられた料理の数々に、ジルはいちいち感心していた。
「美味しい~、色も綺麗だな。」
「カチャカチャとフォークを鳴らすな。」
「そういえば、兄さんはいつも独りで食事をとるのか?」
服装と全く似合わない相変わらずの男言葉で、ジルが尋ねた。
「そうだな。エストは発掘だと言ってなかなか戻らんし、邸で食べる時は、大抵一人だ。忙しければ、食べない時もあるしな。」
「そうなのか?」
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