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「キャア!」
「姉ちゃん?!うわっ!」
食らった一撃が、重い。ジルは、たまらず膝をつく。仲間も苦戦しているようだ。
「やられるっ…!」
その時、闇を裂き現れたのは、目映い金の髪の黒鎧の男。
「ネメ…ア?」
「無事か?」
「なんとか。」
「ここは、魔人バルザーが作り出した異空間だ。この先は、共に戦おう。」
「はい!」
ジルは、目を輝かせた。あの勇者と、肩を並べ戦える。
「姉ちゃん、いい男が一緒だからって気を抜くなよ。」
「妙な事を口走るな!」
姉の鉄拳が、弟の頭を直撃した。
ネメアの尋常でない強さは、現れる敵の総てを粉砕した。自分など、足元にも及ばないだろう。ジルは、その高貴で猛々しい姿に目を奪われていた。
ふと、その強さを目の当たりにしてレムオンを思い出す。初めて彼に会った時、彼もまた今のネメアと同じように自分より遥かに強く、その戦う姿に心奪われた。レムオンとは、手合わせする事もあるが、今のところ全く歯がたたない。
二人とも戦うスタイルは全く違うものの、今の自分が持ち合わせていない強さを持っている。
私もいつか、追い付けるかな。
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