51人が本棚に入れています
本棚に追加
「馬鹿どもが!大人しくしていれば、じきに俺が片をつけたものを!アイツらだけでは返り討ちだ!急いで止めに行くぞ!」
「ああ!」
レムオンの言葉に、弾かれるように答えた。
ジルとレムオンは、彼らの後をすぐ追おうとしたが、行く手を運悪くピクシーに塞がれた。騒ぎに反応して、出てきたのかも知れない。
「さっさと片付けるぞ。」
レムオンは、そう言って剣を構えた。
ザンッ!
悲鳴をあげる隙もないほど、鋭い剣筋だ。彼ひとりで全て片付けられるほど鮮やかな手際に、ジルは感心するばかりだ。
「おい、ジル。お前の剣技は、誰に習った?」
「え?誰にも習ってない。自分で身に付けた。」
「そうか、だから無駄が多いのだな。」
「エッ?」
レムオンが、剣を握るジルの手をとり後ろに立つ。
「こうやって構えろ。切り下げる時も…こんな感じだ。分かったか?」
彼の顔が、覗き込むようにすぐ隣にある。
「ん、分かった。」
「それで、少しはマシになる。急ぐぞ。」
…ドキドキする。こんな時に、そんな場合じゃないことは分かってるけど。急にあんなに近付くなんて思わなかったから、驚くじゃないか。ジルは、口許を手で押さえた。
最初のコメントを投稿しよう!