最果ての灯

2/37
前へ
/37ページ
次へ
その日は、会話という会話は一切なかった。 家に着くと部屋に行き、ベットに倒れこんだ。 「は、は……、余命、4カ月か。今から数えると来年は迎えられそうにないな」 いつもと変わらない日々を過ごしてきた俺に、突き付けられた現実は、あまりに悲惨で残酷だった。死というのはもっと遠い存在であったはずなのに、すぐそこまで迫ってきている。 「でも、案外ラッキーなのかもしれないな。人は突然死んだりするのに、俺には死ぬ日がわかっている。つまり、これからどう過ごしていくか考える時間があるのだ」 脳内がポジティブ思考で埋まっていた。 「そもそも、死ねっていうのは、俺一人の問題じゃないんだろな。残された人たちのことも考えないといけないのか」 これからどうすべきなのだろうか。俺はいったい何をすればいいのだろうか。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

41人が本棚に入れています
本棚に追加