最果ての灯

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目が覚めた日。俺は先生から怪我の具合を聞かされた。 「今回の君の怪我は、たいしたこと無かったよ。刺されたところも運が良かったのかわからないけど、縫合することができた」 「そうですか。けど、ここに呼び出したってことは、まだ続きがあるんでしょう」 たったそれだけだったら、ここに来る必要はないはずだ。 「残念なことに、君の体は結構ガタがきている状態なんだ。その状態から、刺されたところが神経にショックを与えてしまい、君の病気は通常より進行が少しだけ早くなってしまったんだ。まあ、早くなったといっても2、3日くらいだから、そこまで影響はないと思うけど、今後また、どう影響を与えるかはまだわからないんだ。私の見立てでは、今月の20日前後に君は、麻痺を起し、その後は寝たきりになってしまうよ」 「こんなことは言いたくはないが、麻痺をしてから、5日以内に死に至る可能性が大なんだ」 「そうですか、わかりました」 「へえ、案外あっさりしてるね」 「覚悟はもうできていますから。失礼しました」 そう言って、俺は部屋を出て行った。 先日ので、死を確信してしまったから、覚悟はある程度は出来ている。このまま、いつも通りの日常を送ることさえできれば、俺は良かった。
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