最果ての灯

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食事を終えるころには、辺りが真っ暗になっていて、クリスマスツリーのイルミネーションが明るく輝いていた。 「うわ、キレイ…!」 飛鳥は驚きを浮かべている。 「ちょっと、時間もあるし、その辺をうろうろしてごうぜ」 そう言って俺は、飛鳥の手を握り、歩いていった。 その辺の店を回っていくうちに、あっという間に時間も過ぎていき、いよいよ、今日の主役が近づいてきた。 「祐毅ちゃん、そろそろ時間だから、行こう」 そう言うと、俺たちは店を回るのをやめ、ある場所に向かった。 そこは、街の外れの丘だった。 街中は輝いていたのに、ここの丘は真っ暗だ。しかし、街の明かりのせいで、ある程度は見えている。 今日は、クリスマスであると同時にこぐま座流星群の日でもある。 俺たちは、これを見る為に、子どものときに来たこの丘に来たのだ。 「まだ、流星群は見れないね」 「まあ、そうだろうな」 「ねえ、祐毅ちゃん。前に子供の頃のことを覚えているか聞いたことがあったよね」 「ああ、飛鳥の父さんに連れられて、流星群を見たときのことか」 「うん。私たちはあの時に初めて知り合ったんだよね」 「そうだと思うけど、それがどうした」 「本当はね、私たちは、もう少し前から会ったことがあるんだよ」 「え!?」 それは初耳だった。 「引っ越す前、一度だけこの街に来たことがあるんだよ。その時のことは今でも忘れない」
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