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もしもね…
あの日あの時あの場所で、君の音を聞かなかったら…
神聖な学び屋に、高らかにチャイムが鳴る
グラウンドから響く音以外に聞こえてくる声はない
今日は休日
静まりかえった校内には、先程の音の余韻とともに二つの足音が響く
「では宮田先生、短い間ですがよろしくお願いしますよ」
「はい」
返事の後、僕は頭を下げた
いかにもお偉いさん、という風貌の教師が笑顔を向け、去る
彼を愛想笑いで見送ると、僕も廊下を歩き出した
柔かい光が窓から溢れている
先程手渡された書類が、それに照らされている
「いい天気だな…」
ぼんやりと僕は呟いた
外に出てみたい…そんな衝動にも駆られる
僕は窓越しに、校舎の上を覗いた
「…行ってみるかな…」
僕は上に向かって歩き出した
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