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屋上へと続く階段
どこかわくわくした気分で、僕は足を進めていた
『立ち入り禁止』
この札を無視して、僕はドアノブをひねる
軽い手応え…鍵は開いているようだ
ゆっくりとドアを開くと、眩しい光が僕を出迎えた
目の前には、青空、グラウンド、そして街並みが広がる
適当な場所に腰掛けて、僕は書類に目を通す
――宮田 亮輔 ミヤタ リョウスケ
僕の名前とそれに連なるように、この学校の説明文が長々と書かれていた
溜め息をひとつ吐き出す
グラウンドからは、相変わらず賑やかな声が響いている
「……?」
突然、声とは違う音が、僕の耳に届いた
優しく、どこか物悲しいその音色…
ピアノであることは間違いなさそうだ
「誰かいるのか…?」
誰もいないはずの校舎
響く音色に連れられるように、僕は歩き出す
屋上から見下ろす隣校舎の三階…
音色の主はそこにいた
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