■狼と兎と蛍■

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■狼と兎と蛍■

    「明日 満月だって!」 開け放たれた窓から 暖かい風が吹き込む 誰かが言った その言葉が妙に耳に届く 「なぁなぁ!慶次郎!律がね美味しいケーキ屋さん見つけ……」 「わりぃな…他の奴 誘ってやれ…じゃぁな」 トオルの残念そうな表情を見てから ポケットから棒状のラムネを取り出し口に加え 教室から去って行った 最近の俺はおかしい…… 廊下を何も考えず歩いていると 遠くに笑みを浮かべた律の姿が見えた 多分…イヤ、絶対 俺も一緒にケーキ屋へ行くと思っているんだ…… けど 何でだか 気が乗らない… ドンッ!! 「っ…て……!」 ボウとしていた クラスメートのa.にぶつかり ラムネが吹っ飛んだ 普段なら何もなく流すのに 今日は違う… 「ってーな…どこ見てんだよ!!」 いや、その… この言葉は俺自身に対してのセリフだろうが なのにa.に向かって言うなんて…… それに何だ…?? このザワザワした感じ…… イヤな感じで 怖い…… →→→    
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