2日目

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今日は土曜日で学校が休み 一応、友達と約束はあったが茜が心配だから約束を断って俺は朝から病院に来た 「よう、調子はどうだ?」 俺は病室に入る 親父もおふくろも今の時間は来ていない 「とってもいいです…けど、何も思い出せないのでいいとは言わないんでしょうね」 茜は苦笑いを見せる 今思うのは、何でもないようなことが幸せだったと思うあの曲だ 「茜の体調がいいなら俺はそれでいいよ、記憶はゆっくり思い出していけばいい」 今のは嘘、だな 本当は早く記憶を戻して家に帰ってきてもらいたい いれば邪魔に感じるけど、いなければいないで寂しいんだ 「ありがとうございます…ところでそれは?」 茜は俺がもっていた箱を指差す これはお見舞いのケーキだ 早く記憶が戻るようにと願かけた茜の好きなモンブランだ 「ケーキだ、食べるだろ?」 俺の言葉に頷いた茜に俺はモンブランを差し出した コンビニで買ってきた紙皿に乗せ、プラスチックフォーク添えて ついでにコンビニで買った、茜がよく飲んでいた十六茶も付けてな 今更だが、緑茶とケーキって合うのか? ただ茜がすごく目を輝かせ、すごく幸せそうな顔で食べるから俺は放っておいた 「ご馳走様でした」 満足した顔で茜が顔の前で手を合わせる そしてゆっくりベッドに横になった 「ふふ、これじゃあ太っちゃいますね」 楽しそうに笑う茜を見て、俺は もってきてよかったと思うのと 記憶は戻らないかと思うのと 2つの想いが混じりあった 「今日…怖い夢見たんです」 急に真面目な顔になった茜に少し動揺する 「真っ暗なところにいて…誰もいなくて…一筋の光が現れてみんないるるんですけど、だんだんそれも真っ暗になって…」 茜は一粒、涙を流した たまらなくなって俺は、茜の手を握った 「お兄ちゃん?」 感情のこもらないお兄ちゃんという言葉 それでも俺は茜の手を強く、強く握った 「俺は茜の兄だ、たとえ記憶が戻っても戻らなくても関係ない、俺が茜を絶対に独りにはしない」 言ったあと、自分自身の心にも強く誓う 「信じて…いいんですね?」 茜が不安そうな顔で俺に聞く 「もちろんだ」
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