655人が本棚に入れています
本棚に追加
瞳に溜まっていた涙が堪えきれず一粒流れ落ちたのと同時に、ガチャ、と真っ暗な部屋に光が差し込んだ。
「……涙?起きてたのか?」
逆行でシルエットしか分からないけど、そらは紛れもなく蒼の声。
「…あ、お…ぐすっ、」
「涙?泣いてるのか!?」
「…置いてか…ない、で…ぇ…っ、一人に、しな…いで…っ」
「っ、ごめんな、ごめんな涙。もう一人じゃねーから、大丈夫だから、な?」
泣いている俺に焦って近寄って抱き締めてくれた蒼。その胸に顔を埋める。
「…こわ、かった…ぁ…っ」
「ん、ごめんな、涙。」
「、ん、ゅ…っふあ、んん…っ」
俺の涙を袖で拭いてくれていたと思うと、今度は唇に温もりが。
俺を落ち着かせるための、キス。
「ん、…んんぁ…っ」
深すぎるそれに体の力が抜け、蒼にもたれ掛かる様になる。蒼は俺が崩れ落ちないようにしっかりと抱き締めた。
最初のコメントを投稿しよう!