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――時は過ぎる。
セージも立派な青年になり
つつある。時々タカシと見間
違えられることが嬉しかった
が、顔には出さなかった。
「セージ、また背が伸びたん
じゃないか?」
「伸びないよ。もう止まって
る」
「……執務の方はどうだ?大
変だろう?」
「そりゃあ、誰かさんのおか
げで苦労させてもらってるよ」
「そうか……そうだな。許せ、
セージ」
「もう子供じゃないんだ、頭
なんて撫でるなよ!」
最初は拗ねてるだけだった。
だがもうそんな年齢ではなか
った。反抗期のせいもあった
かもしれない。
兄に対してどう対応してい
いか解らなくなっていた。
本当は――気にかけてくれ
るのが嬉しい。貴重な休日に
会いに来てくれるのも楽しみ
で、前の日からドキドキして
いるんだ。
そんな素直な言葉を言える
勇気が欲しかった。
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