皇子サマといっしょ。

6/7
前へ
/26ページ
次へ
    タカシは無口だ。だからこ  そ行動する男だ。   ハルカの腕を掴むと力任せ  に引き寄せて、両腕で抱きし  めた。   柔らかなひよこ色の髪が頬  をくすぐる。  「タ、タカシっ?」   驚いたハルカは腕の中で身  じろぐが、放してはやれない。  「人に見られるって」   もう暗いとはいえ道の真ん  中である。   ハルカは戸惑っていたが、  本気に逃げようとはしていな  い。   そのぐらいはタカシにも解  った。解ったからこそ抱きし  める腕に気持ちを込める。  『可愛いことを言うお前が悪  い……フッ』   鉄の無表情もハルカの温も  りにはかなわない。   言葉には出せないが、少し  顔を離してハルカの瞳を見つ  めれば、その言葉を込めた優  しい眼差しにハルカは気付い  て耳まで赤くなった。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

67人が本棚に入れています
本棚に追加