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タカシは無口だ。だからこ
そ行動する男だ。
ハルカの腕を掴むと力任せ
に引き寄せて、両腕で抱きし
めた。
柔らかなひよこ色の髪が頬
をくすぐる。
「タ、タカシっ?」
驚いたハルカは腕の中で身
じろぐが、放してはやれない。
「人に見られるって」
もう暗いとはいえ道の真ん
中である。
ハルカは戸惑っていたが、
本気に逃げようとはしていな
い。
そのぐらいはタカシにも解
った。解ったからこそ抱きし
める腕に気持ちを込める。
『可愛いことを言うお前が悪
い……フッ』
鉄の無表情もハルカの温も
りにはかなわない。
言葉には出せないが、少し
顔を離してハルカの瞳を見つ
めれば、その言葉を込めた優
しい眼差しにハルカは気付い
て耳まで赤くなった。
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