67人が本棚に入れています
本棚に追加
「わ、わかったから、もうい
いだろ」
恥ずかしさに耐えられなく
なったハルカが脱出をはかろ
うとするので、逃がすまいと
耳元に唇を寄せた――
「お前の好きな物より……お
前を好きになりたい」
ピタリとハルカは大人しく
なった。
不思議に思って顔を覗き込
むと、恨めしそうに上目で睨
まれる。
「……いまさらじゃん」
「言葉じゃ足りないってこと
か?」
「っ!?」
「お前が食べたい……の方が
良かったか?」
「さむっ!オヤジかよ!」
ツッコミとともにハルカに
逃げられた。
タカシは無口だ。
だが奥手というわけではない。
不器用で世間知らずの皇子
サマは、明日も甘い台詞を考
える……そりゃもう大真面目
に。
――おしまい。
最初のコメントを投稿しよう!