1章 始まりの鐘

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顔が真っ赤になっているのは自分でも分かる。 これなのか!? これなのか!? 顔から火が出るって言うことわざは! けど、どうすることもできなくてじっと固まるしかできない。 「ここも危ないから移動するよ。大丈夫?」 こくこくとただ頷くことしかできない。 ああ!なんなんだこの恥ずかしは! 誰にも言わずにきたけど――。 彼氏が欲しくても、無理な理由……。 それは。 『男性恐怖症』のせい。 半径1m以上離れていないと反射神経で男から離れてしまう。 目を合わせて会話することさえもできません。 とことん大嫌いな生き物。 なのにその男と言う生き物と密着状態!? どうするっどうするっ!? 怖い通りすぎておかしくなってるっ! 「ここまで来れば大丈夫かな」 背中からゆっくりと彼の手が離される。 地面にようやく足がつく。 恋しかったよ!私の大地!偉大なる大地! 大きく深呼吸をし、心臓のバクバクと恐怖心を和らげる。 そして彼に向かって深々とお辞儀をする。 「あっ、ありがとうございました!おかげで今こうやって生きてます!本当ありがとうございました!」 彼の顔を見ないように、そして見られないようにそっと上を見上げる。 なるほど…上から落ちて……この隙間に入ったってわけか。 電車はいつものようにそこに止まっている。
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