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顔が真っ赤になっているのは自分でも分かる。
これなのか!?
これなのか!?
顔から火が出るって言うことわざは!
けど、どうすることもできなくてじっと固まるしかできない。
「ここも危ないから移動するよ。大丈夫?」
こくこくとただ頷くことしかできない。
ああ!なんなんだこの恥ずかしは!
誰にも言わずにきたけど――。
彼氏が欲しくても、無理な理由……。
それは。
『男性恐怖症』のせい。
半径1m以上離れていないと反射神経で男から離れてしまう。
目を合わせて会話することさえもできません。
とことん大嫌いな生き物。
なのにその男と言う生き物と密着状態!?
どうするっどうするっ!?
怖い通りすぎておかしくなってるっ!
「ここまで来れば大丈夫かな」
背中からゆっくりと彼の手が離される。
地面にようやく足がつく。
恋しかったよ!私の大地!偉大なる大地!
大きく深呼吸をし、心臓のバクバクと恐怖心を和らげる。
そして彼に向かって深々とお辞儀をする。
「あっ、ありがとうございました!おかげで今こうやって生きてます!本当ありがとうございました!」
彼の顔を見ないように、そして見られないようにそっと上を見上げる。
なるほど…上から落ちて……この隙間に入ったってわけか。
電車はいつものようにそこに止まっている。
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