1章 始まりの鐘

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慌てて人が走ってくる音が次から次へと聞こえてくる。 「大丈夫ですかっ!?」 すると上から声をかけられる。 どうやら騒ぎを聞きたてた駅員さんがたくさんいた。 「えっはい。大丈夫です……」 大丈夫なのかよく分からないけど。 生きていることには変わりないから、大丈夫だろう。 『時間より少し電車の発車時刻が変更されます。ご確認の上―』 そうアナウンスが入ると肩の力が抜ける。 あんなに人が少なかった駅のホームは野次馬だらけになっていた。 駅員さんの一人が私に手を貸そうと手をさしのべてくれたが、年配の人だったので断り自分でよじ登った。 まぁ、そもそも男の人の手を握るのが嫌なだけ。 制服についた埃を払っていると、すごい視線を感じた。 「……」 私はその視線に耐えきれずその場から離れた。 「あっ君!」 駅員さんに呼び止められたが無視して早歩きで歩く。
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