1章 始まりの鐘

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そこらに投げてあった鞄を見つけ、すぐさま掴むと電車へと駆け込んだ。 外から見えないようにと車両を変え人目のつかない所で座る。 電車の中はがらがらなのに、ホームにはたくさんの人。 ……なんか変なの。 ため息をついて目を閉じる。 そっと手首を触るが。 「っ!?痛った……」 覆面男のナイフがかすったのか、それとも落ちた時にできたのかかすり傷がある。 ぞくっと背中に何かが走った。 冷や汗も今ごろになってどっとでてくる。 フラッシュバックされる過去の記憶……。 あんなこと思いだすな!大丈夫!これは事故! 自分に何度も何度も言い聞かせ、心を落ち着かせる。 「はぁー……」 「あっこんな所にいた」 その声と共に体はピクリと反応し急に言うことを聞かなくなる。 もうなんなの今日は。
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