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時計が示す時間はきっちり10時。
電話が鳴り響き部屋から出るよう指示された。
「あーもうこんな時間かよ。もっといてぇ~」
「10時かぁ。早いね時の流れって」
「かっこいいセリフですこと~」
「帰りたくないな……」
家なんて帰りたくない。
帰ったところで何かあるわけでもない。
「また奈々の帰りたくな~い!が始まった~」
「本当嫌なんだもん。みんなみたいに親の仕事が深夜までとかだったらなー」
「本当いいよ~。夜いないとかまじラッキー」
私にはこの世で一番嫌いなヤツが家に帰って来る。
まだ、10時だから帰って来てはいないだろうが。
「せめて、兄弟がいたらいいのにな……」
一人っ子の憧れだよね。
どれだけ仲が悪くて、憎まれ口を叩かれようが叩かれまいが兄弟がいることは羨ましい。
小さくため息が漏れる。
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