1章 始まりの鐘

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だけど、いつものようなイケメンレーダーが反応していない。 きっといないだろうと、鞄の中から音楽プレイヤーを取り出した。 さっきよりざわめきが増した。 けど私には関係ないだろうし、どうでもいい。 お構い無しにイヤホンを耳に――。 「どけぇっ!!死にてぇのかぁっっ!!」 「――っっ!?」 黒い布で顔を隠し、左手には何やら鞄らしき物 右手には…… ――血がついたナイフ。 背中に何かぞくりと走った。 逃げようとしても足がすくんで動けない。 どっ、どうしよう!死にたくないっ!! 焦る気持ちは募ってく一方で頭がうまく回ってくれない。 叫ぼうにも声がでない。 叫んだところで何かが変わるわけじゃないけどそれなりに自然と力が入るはず。 だけど恐怖の方が強く口を開けてもただ空気が抜けていくような音しかでなかった。 カラオケにいた時はあんな声量でたのに。
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