1章 始まりの鐘

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私の声が出ない分覆面男の叫び声が周りに響く。 「うぉおっらぁあああああああっっ!!」 響く声ね~覆面男。 でもカラオケ行けば私の方が声出るのよ?? 男はそのまま走って来て、私にナイフを向けた。 体の中の何かがふわりと溶け、男を避ける。 勢いにのったまま男は私の横をすり抜けて走り去って行く。 助かった……と変なガッツポーズを決めた時だった。 何故か視界がぐらりと揺れる。 「ふぇ!?」 見えるのは、慌ただしく入ってくる人々。 こっちを見て悲鳴をあげる女性。 いったい何が起こってるのかさっぱり分からない。 ただ一つだけ分かったこと。 見える世界全てがスローモーションに見えること。 すると急に腰に痛みが走った。 「――いっ!!」 じんじんとくる痛みと共にじんわりと涙が出た。
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