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「つまんな~い」
もぅ 3月だと言うのに
雪が残る庵に 何度 響いたであろう言葉…
「つまんな~~い」
「つまんない つまんない つまんなぁぁぁぁぁい」
まるで だだっ子の様に 手足をバタつかせて
更夜(コウヤ)は 傍らで 本を読み続ける男に視線を投げてみる…
「ふぅ…」
「そんな目で 睨んでもダメなモノはダメだ」
本から視線を離さないまま
男は静かに否定の言葉を告げた。
「蒼隆(ソウリュウ)の け~ち」
ぷくっと頬を膨らまして 拗ねる更夜に
蒼隆と呼ばれた男は言葉を続けた。
「お前に【シキ】は まだ 無理だ…
『分家の癖に生意気ぃ~』
更夜は蒼隆の本を取り上げ
目の前に仁王立ちする。
長い黒髪と
黒目勝ちな瞳
透き通る様な白い肌…
先程まで この女性が だだっ子の様に手足をバタつかせていたなどと 想像も出来ない程 彼女は美しかった。
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