プロローグ

3/12
前へ
/38ページ
次へ
 ……アイツ、年中発情期だな。  俺も女に興味が無い訳ではないのだが、別に興味がある訳でも無い。  単にホモ等の類ではないだけで、女にも特に興味が湧くわけでは無い。  ……電話を掛けて来ていた相手は、友達と呼べる人間が1人たりともいないことで大体は分かると思うが、消去法で舎弟であるだが、町である度々に一緒に歩いている女が違うという奴だ。  まあ、俺にとって全くの無縁の世界に存在する奴であるのだが、舎弟である以上繋がりもある奴なのだ。  舎弟が、電話を掛け直して来ることは無く、蕎麦が茹で上がり、麺と麺つゆを丼の中に入れ、上に天ぷらを乗せると、橋と丼を持ってリビングへ。  リビングも、キッチンと同様に大掃除が済まされており、ゴミ一つない綺麗な空間で有る為、少し勿体ない気がする。  俺はソファに座り、手前に置いてあるテーブルに蕎麦を置き、テレビへ目を向ける。  年を越す10秒前という、何とも絶妙なタイミングだった。 『年越しまで後、10秒前! 9、8、7、6、5、4、3、2、1、ハッピーニューイヤー!』  1月1日を迎える瞬間、俺は蕎麦に手を付けた。  しかし、手を付ける前にマナーモードにしてあった携帯のバイブ機能が作動し、メールの受信を知らせる。  ……あぁ?  蕎麦を食う邪魔されたことにより、若干の苛立ちを感じる俺なのだが、一応はメールを確認することにする。  大方、マメな舎弟によるあけおめメールだろうと考えながら。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加