序章

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早々に朝食を済ませ、諸々の支度をすませて寮から出ると、隣の部屋の生徒も出てきた。 「よーっす、アルト!」 その生徒は少年-アルト・スレイニルを見つけるやいなや、笑みを浮かべて片手を挙げて寄ってきた。 「おー、おはようセイヤ」 つられてアルトも手を挙げ挨拶を返す。 隣室の少年、セイヤ・クリストはアルトと初等部のときから幼なじみの、クラスメイトである。 燃えるような赤髪は逆立ち、鋭い目をしているため、性格がきつめなイケメンだというレッテルを貼られやすい男だ。ただ、話してみるとその見た目とは異なり非常に気さくで、小等部入学式で会話して以来、2人は非常に仲が良い。 そんなセイヤも、あまりクラスでは女子から人気がない。 その原因は明白。 2人のクラスには、セイヤ以上に 顔が整った男子がいるためである。 その上、座学や体術の成績は学年でもトップクラスで、性格も温厚。非の打ちようのない彼に、女子はメロメロなのだ。 そのため、多少イケメンでも全くモテない。 とどのつまり、アルトもセイヤも彼ークリス・フルビントの前では平凡な脇役に過ぎないのだ。
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