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「なんか今日から編入生が来るらしいぜ」
セイヤはカバンを肩に掛けつつ、アルトに話しかけた。
「マジで?高等部から入学なんて珍しいな」
「んー、なんか国王様の推薦とかいってたな。どうでもいいけど」
セイヤは心底どうでも良さそうな顔で横を歩いている。
「国王様直々に推薦ってどんな奴だよ…」
アルトは口をひくつかせながら苦笑いした。
「まぁ確かにどうでもいいな。どうせ特待生だろうし」
2人が通うウェザリア魔法学園には特待生制度が設けられている。
特待生として選ばれるのは、入学試験当時非常に成績が良かった者や在学中の勉学及び体術の評価が非常に高い者、もしくは両親が貴族や王族という者である。
特待生に選ばれれば、授業料の減額や寮のグレードアップ、食堂の利用が無料になるなど、優遇されることが多くなる。
「な。オレ達みてーな凡人とは接点なんざねぇよ、絶対。オレはそれよりもやっと魔法が使えることの方が楽しみだな!」
さっきまでの表情とはうってかわり、笑顔が弾ける。
「俺も!中等部とかつまらなさヤバかったよな」
この学園では、初等部で算数などの一般教養、中等部では魔法理論や体術を学び、高等部から魔法を実戦で習うことになっている。
それは人間の内部に存在する魔力の循環が安定する年齢がこのころであること、そして精神的にも成熟してきたことに起因している。
冷静さと想像力が生命線である魔法にとって、これは非常に重要なことなのだ。
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