入隊

3/40
前へ
/274ページ
次へ
「あの、人が話しているのに邪魔ってなんですか?邪魔はそっちですよ」 言い返してやるとギロッと睨まれた おうふ… あまりの迫力に思わず一歩後ずさる 「てめぇ、女のくせに口答えすんのか!!!」 「激しい男女差別!!!」 胸元を掴まれたが、怯まずに睨みつける 「女なんて関係ないじゃないですか。あ、あと汚いので手を離してください。警察呼びますよ?」 私達の隣では、掃除をしていた女性が口元を押さえて震えている こっちは冷静に言ってあげているのに、男は私を外に引きずり出した 一定の距離を保ったまま男が私を睨みつけてくる 「高そうな刀を持ってんじゃねぇか。それを渡せば見逃してやるよ」 「こんなひ弱な女子高生からカツアゲ…だと?っていうか、高そうな刀なんてどこに……」 いやいや、私が持ってるのはオンボロ刀だからね もしかして、何かプレミアがつくようなお宝なのか? …と思いつつ男の視線の先に目を向ける 「……………ん?」 んんっ? 自分の手に握られた刀を見下ろして驚く 「えぇぇぇぇっ!?」 私の手に握られた刀は今朝までのボロボロではなく、黒塗りの鞘は朝日をきらりと反射していた 漆黒で艶のある鞘に細かい細工が施された鍔、刃は鋭く滑らかだ 「なぜ!?さっきまではボロボロだったのに!!っていうか、確かに高そうだな、おい!これを売ったら相当な値段になるんじゃ…」 あり得ないことが起こっているのは確かだが、それよりも金目の物が目の前にあることの方に気を取られる 何がどうなって刀が変身したのかは分からないけど、これって神様からのプレゼントじゃね? これを売って、前から欲しかったSPSPを買えってことじゃね? ぐへへへっ、と一攫千金を目の前にした悪党のように笑う そんな私を見た男がたじろいだ
/274ページ

最初のコメントを投稿しよう!

121人が本棚に入れています
本棚に追加