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「あの、人が話しているのに邪魔ってなんですか?邪魔はそっちですよ」
言い返してやるとギロッと睨まれた
おうふ…
あまりの迫力に思わず一歩後ずさる
「てめぇ、女のくせに口答えすんのか!!!」
「激しい男女差別!!!」
胸元を掴まれたが、怯まずに睨みつける
「女なんて関係ないじゃないですか。あ、あと汚いので手を離してください。警察呼びますよ?」
私達の隣では、掃除をしていた女性が口元を押さえて震えている
こっちは冷静に言ってあげているのに、男は私を外に引きずり出した
一定の距離を保ったまま男が私を睨みつけてくる
「高そうな刀を持ってんじゃねぇか。それを渡せば見逃してやるよ」
「こんなひ弱な女子高生からカツアゲ…だと?っていうか、高そうな刀なんてどこに……」
いやいや、私が持ってるのはオンボロ刀だからね
もしかして、何かプレミアがつくようなお宝なのか?
…と思いつつ男の視線の先に目を向ける
「……………ん?」
んんっ?
自分の手に握られた刀を見下ろして驚く
「えぇぇぇぇっ!?」
私の手に握られた刀は今朝までのボロボロではなく、黒塗りの鞘は朝日をきらりと反射していた
漆黒で艶のある鞘に細かい細工が施された鍔、刃は鋭く滑らかだ
「なぜ!?さっきまではボロボロだったのに!!っていうか、確かに高そうだな、おい!これを売ったら相当な値段になるんじゃ…」
あり得ないことが起こっているのは確かだが、それよりも金目の物が目の前にあることの方に気を取られる
何がどうなって刀が変身したのかは分からないけど、これって神様からのプレゼントじゃね?
これを売って、前から欲しかったSPSPを買えってことじゃね?
ぐへへへっ、と一攫千金を目の前にした悪党のように笑う
そんな私を見た男がたじろいだ
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