入隊

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「くっ、俺様よりも悪どい顔をしやがって!!貴様っ、もののけの類じゃ「誰がもののけ姫じゃいぃぃぃぃっ!!!」ぐぼぁっ」 男が刀に手をかけると同時に、顔面へ楓スペシャルニーキックを喰らわす 「姫なんか「黙れ小僧!!」 更に回し蹴りを腹に喰らわすと、男は力なく地面に横たわった 「きゃーっ!!人殺しっ!」 なぬっ!? 人殺しだと!? 慌てて振り向くと、店先で掃除していた女性が私を指差して叫んでいた って、私ですか!!? 「いやいや、違うから!襲われてたのは私で、これは立派な正当防衛だから!」 気づけば私達は野次馬に囲まれていた 無害を示すために両手を上げながら野次馬に近づくと、近づいた分だけ、みんなが後ずさる あの…すみません、泣いて良いですか? 「くっ、女の蹴りなど痛くも痒くもないわ!」 「泣いてますよね?目から汗とかジャイアン的な事言いませんよね?」 明らかに痛みから涙を浮かべて強がる男 なんだろ、凄く悪いことをしているような気持ちになる 「女だからと手加減はせぬぞ!」 突然刀を振り上げてきた男の斬撃を慌てて避ける まさか、フラッシュモブか!? 襲われる私をイケメンが助けてくれ、そのままプロポーズ!? 女にバカにされ、怒りと羞恥で顔を赤く染める男を余所にキョロキョロとイケメンを探す 「やべ、よくよく考えると私、彼氏いないんだった…」 「もう許さん!!武士を愚弄した報いだ!!」 まるで相手にしない楓に激昂した男が強く刀を振り下ろした それを咄嗟に持っていた刀で受け止めた ガキンッと激しい音と、腕に加わる衝撃に鳥肌が立つ ギリギリと音を立てて相手の刀を受け止める鞘は、えぐれていた そして、男の刀から香るさびた鉄のような臭い ハッとして、見上げると男の血走った目と目が合った 演技じゃ…ない? 偽物だと思っていた男の刀の刃は鋭く、何を斬ったのか、赤黒い錆が微かに付着していた そして、女相手に向けるものとは思えない力と本気の恐怖に染まる野次馬達の目 何時の間にか周りに集まった野次馬達は、男と同様でみんな袴姿だった
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