入隊

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「女だとて許さん!!殺す!」 更に加わる力に刀が押されて、肘が曲がり、目の前に鋭い刃が迫る 必死に耐えながらも頭は混乱していた 殺す? この人、本気で私を殺そうとしてるわけ!? 初めて向けられる殺気 そして、再び振り上げられた刀を唖然と見上げる そんなわけ……… 「見苦しいなぁ」 ガキンッという金属音が聞こえて、咄嗟につぶっていた目を開くと視界を紺色の着物が遮っていた 張り詰めた空気とは不釣り合いな声 足元を見ると、さっきまで男が持っていた刀が落ちていた 「せっかく煩い馬鹿から逃れて散歩してたのに、目障りなことしないでくれる?」 どうやら、目の前にいる紺色の着物を着た人に助けられたらしい 私の位置からは背中しか見えないけど、髪の毛は綺麗に高く結い上げられ、手には綺麗な刀が握られていた 男の刃こぼれした刀とは大違いの美しい刀に目を奪われる 「きっ、貴様!!邪魔だてする気か!!」 「邪魔なのは君だよ。私の気分を害した罪は重いけど?」 スッと男に向けられた刀に辺りがどよめく 男が怯むのが雰囲気で分かった 「今は血を見る気分じゃないんだけど…」 目の前の彼はどんな表情をしているのだろうか 私からは見えない男が短く息を吸う音が微かに聞こえた 「気が変わる前に消えた方が良いんじゃない?」 それが決め手だった 彼の言葉を聞いた途端に、男は転げるようにその場から逃げ出した ドタバタと走り去る足音を聞きながら、自分の手を見下ろす 刀を握る手は力強く鞘を握ったまま固まり、微かに震えていた
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