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額から流れた汗が頬を伝う
何時の間にか止めていた息吐き出すと、体がずっしりと重く感じた
周りにいた野次馬が去るのを見送りながら、唖然とする
みんながみんな着物を着ていて、手には刀やら桶やら、現代では考えられないような物を持っていた
そして、ようやく気づく街並みの変化
昨日まで宿の隣にあったコンビニは古い家に変わり、道路はコンクリートではなく、土になっている
「うそ……でしょ?」
嫌でも分かる大きな変化に自然と鼓動が速くなる
そんなわけない、と思いつつも一つの結論が導き出されていた
「あ、あの……」
恐る恐る目の前で男の刀を拾い上げていた彼に声をかける
「なに?」
刀から目を離し、私を見た彼の顔立ちに言葉を失う
「イケメン…だと?」
なにこれ、不良に絡まれていたところをイケメンに助けられるとか、ベタ過ぎるでしょ
いや、ベタだと分かってはいるんだけど…っ
「いけめん?」
「嫌いじゃない!!!」
ひらがな発音しつつ首を傾げる彼に悶える
くっ、くそっ、イケメンが!
このイケメンがぁっ!!
「なにそれ、意味わからないんだけど」
頭大丈夫?的な顔をされようとも私は挫けない!!
そんな顔すらも格好良い!!
「ってそうじゃないからぁぁ!!」
そうじゃない!!
危うくイケメンに惑わされるところだったよ!!
一度で良いからイケメンに惑わされてみたいとは思っていたけれども、今は惑わされてる場合じゃないから!!
「あ、あの!!今って、何年ですか!?」
「は?」
くっ、その蔑んだ目も嫌いじゃない…
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