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「あぁっ!こんな所におられたのですか!!」
彼が口を開こうとした途端に、見知らぬ男が走ってきた
それを見た彼は不機嫌そうに目を細めてから、小さく息を漏らす
「どうかお戻り下さい!あのお方がお待ちですよ!」
どうやら何かの集まりから抜け出してきたらしい
この人さっき散歩とか言ってたよね?
「どうせ眉間にシワを寄せてるんだろうね」
しかも、余計な事に足を突っ込んだせいで見つかっちゃったんだけど、と何故か私に責任を押し付けてきた
余計なこととはなんだ!
「ん?なんですか、この珍妙な成りをした娘は」
一つ言わせて頂きたい。
こんなことを言われる私はどこぞの芸人やらニューハーフが着ているような変な服を着ているとお思いだろう
しかし、私は至って普通の服を着ている!!!
普通のTシャツに普通のショーパンだ!!
「うん、今そこで拾ったんだけど」
「人を犬や猫扱い!?」
そして、私は気づかぬうちに拾われていたらしい
「いっ、いけません、こんな得体のしれぬ女を!!そんなことより、早く会合に戻りますよ!」
色々と言ってやりたい気持ちはあるけど、今はそれどころじゃない
なにせタイムスリップしてしまったのだ
これからの事を考えなくちゃ
「じゃっ、私はこれで」
「待ちなよ」
早くこの場を去ろうと背中を向けると、腕を掴まれた
「君は「こんな所にいやがったのかてめぇはぁ!!!」
急に登場した派手な男が彼のもう片方の腕を掴んで引っ張ったため、私の腕が解放された
今がチャンス!!!
「さらば!!」
とりあえず落ち着いて今後の事を考えたい私は、後ろから聞こえる静止の声を無視して京の街を走り抜けた
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