小姓

6/56
前へ
/274ページ
次へ
庭の角を曲がると為三郎の奥に原田さんがいるのが見えた 「原田さーーん!!!」 大きな声で名前を呼ぶと、一日の大半を上半身裸で過ごす変態原田左之助が振り向いた 「ん?どうし「その餓鬼を捕まえて下さい!!!」 「餓鬼?」 原田は楓の前を走る為三郎を難なく捕まえた 「はっ、離せぇぇ!卑怯や!」 「はっ、はっ、はっ、泣け叫べ喚け!俺様から逃げようなど百万年早いわ!!」 完璧に雑魚キャラの発言をする原田さんは、為三郎を羽交い締めにした 「ふっ、追いついたぞ為三郎ぉ」 怪しい笑みを浮かべて、ジリジリと迫ってくる楓を見た為三郎が更に暴れる 「離せ阿呆!!」 「殺…「しちゃだめだから」 ペシッと頭を叩かれたため、振り向くと先生が為三郎を原田さんから解放した 「お?もう終わりか?」 咄嗟のことだったにも関わらず、ノリノリだった原田さんが残念そうに腕を回した 原田さん、そのノリ…嫌いじゃない 「ほら、為三郎もそろそろ帰らないとお父上が探しに来るよ?」 「だって、この小姑が…」 「誰が小姑だ、こら」 「鬼ごっこの続きはまた今度」 沖田先生は為三郎の頭をぽんと撫でる と「またね」と笑った 子供にだけ見せる優しい表情を見て、少しだけムッとする 私には滅多に笑ってくれないくせに!! 「さいなら、沖田はん、原田はん」 「私にはなしかい!!」というツッコミを入れると、あっかんべーをして、走り去ってしまった ぷるぷると震える拳を握りしめる 「ほら、小姑さん、稽古の時間じゃなかった?」 私には笑顔すら浮かべずに、小姑扱いする沖田先生を睨む 「もとはといえば先生が真面目に稽古つけないのが悪いんでしょうがっ!!」 為三郎への怒りをぶつけると、さっきまで子供に向けていた笑顔を貼り付けたまま、先生がドス黒いオーラを発し始めた 「ひいっ」 「そんなに稽古したいなら、してあげるよ」 ボロ雑巾になるまで、と私を稽古場まで引きずる先生 結局、参加禁止なのに稽古に出た私は先生にボコボコにされ、更には土方さんに怒られ、踏んだり蹴ったりだった
/274ページ

最初のコメントを投稿しよう!

121人が本棚に入れています
本棚に追加