小姓

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「寝落ちだと!!?」 何これ、逆に気になって眠れないんですけど!! 99.9999%の確率で「君の体にだよ」という返事だと思うけれどもっ、返事がないとなんか怖い! 恐怖に駆られて畳の上で頭を抱える 「うぅ、仕方ない、寝よう…」 怖いだなんて言ってられない 明日だって、地獄の朝稽古が待っているのだ 再びズルズルと腕だけで体を移動させて布団へと潜り込む 未来で使っていたものとは違い、ぺったんこで背中が畳に近い布団 そして、ふかふかとは言い難い…むしろ硬くて修行としか思えない枕に頭を乗せて一息つく 先生と土方さんに想われる近藤さん それは近藤さんの人柄があるからで、新選組に集まっている皆もそんな人柄に惹かれているんだと思う 新選組のみんなに囲まれて笑う近藤さんを想像したら、胸がほんわかと温かくなって、そこに自分もいるのだと思ったら、なんでも頑張れるような気がしてきた この間、朝食を作りながら源さんが、先生や近藤さん、土方さん達はみんな京ではなく、もっと田舎から出てきたんだって教えてくれた 幹部のみんなは近藤の試衛館という道場に集まったメンバーで、色々と事情があって京都までやって来たらしい いや、色々な事情っていうのは結構複雑で詳しく説明してはくれたんだけど、なかなか頭に入ってこなかったんだよね… なんか、来る途中も色々な事件やら揉め事やらがあったらしいんだけど、話してる最中に原田さんがテンション上がって「あれだけは許せねぇよな!」とかなんとか…思い出話をし始めたりしちゃって、結局よく分からなかった 田舎でボロボロな道場を開いていた近藤さん 先生や土方さんはそこに通ってたってことかな? 詳しくは分からないけど、時代は違うのに私と同じように道場に通っていたっていうのが、なんだか嬉しくて、私もこの時代で同じ土地にいたら近藤さんの道場に通っていたのかな?とか思ったり 「近藤さんが道場主かぁ……」 きっと毎日が賑やかで、互いに競い合いながら稽古に励むんだろうな 田舎の古い道場で竹刀を握るみんなの姿を想像してみる 今はなかなか稽古に出てこない近藤さんや土方さんも竹刀を持ってて… きっと先生は土方さんに容赦無く竹刀を振り下ろすんだろうな 想像なのに温かくて、少しだけ羨ましい そんな勝手な妄想をしているうちに、私も自然と眠りに落ちた
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