小姓

14/56
前へ
/274ページ
次へ
「そこまで言うなら、為三郎はもっと綺麗に洗濯できるんだよな!?」 「当たり前や」 ほう、ならばお手並み拝見といこうじゃないか… 笑顔のまま為三郎の腕をがっしり掴む 腕に触れた途端に為三郎が硬直するのが分かった 「じゃあ、やってみせ……ぶぉふっ」 手を無理やりタライに突っ込んだ途端に、為三郎が私の腕を振り払った そのため、汚れた水が顔面に直撃した 「さ、さ、さ…」 「さ?」 俯いたままぷるぷる震える為三郎 しかも、心なしか耳が赤い気がする 「触るな変態!!」 為三郎は濡れた手を振り回して、私の頭を叩こうとしたが、それを難なく避ける こやつ、潔癖性か!? 何故か顔を真っ赤にして怒る為三郎 「お、お前なんかっ、沖田はんの色小姓のくせに!!」 地面の土をがっしりと掴み、投げつけられた 「うっぷっ、口に土がっ」 そして、問題が一つある…… 「っていうか、色小姓って?」 悪口だというのは何とな~くわかる 色っぽいってこと? だけど、それって悪口じゃないよね… 「こっ、この前、隊士達が言ってるのを聞いてん!意味は……その…」 「はいはい。意味もわらかずに叫んだと」 う~ん、後で沖田先生にでも聞いてみるか… 「というか、よくもやってくれたな!!」 泥だらけになった顔を着物の袖でゴシゴシと擦り、勢いよく立ち上がる 「うっ、うるさいわ」 「待てこら!!」 洗濯物は放置して、為三郎を捕獲すべく全力ダッシュをする 今度こそは仕留める!! いつも八木家の母屋に逃げ込まれてしまう 今回も母屋に逃げ込むらしく、為三郎は屯所の出口から勢いよく飛び出した すると、たまたま八木家の方からやってきた人とよくぶつかり、為三郎は尻餅をついた 「なんだこのクソ餓鬼……って、泥だらけじゃねぇか!」 突然怒鳴られた為三郎は地面に尻餅をついたままだ 「す、すんまへん……。あの、余所見してて「餓鬼だからって許されると思ってんのか!」 子供相手にも関わらず、男は大刀を抜くと上段から一気に振り下ろした
/274ページ

最初のコメントを投稿しよう!

121人が本棚に入れています
本棚に追加