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「……っ……痛っ…」
背中に当たるゴツゴツした感覚に目を覚ました
恐る恐る目を開くが、周りが歪む事はなく、ほっと息を吐き出しながら、ゆっくりと立ち上がる
どのくらい気を失っていたんだろう…
人通りの少なかった通りは、さっきよりも賑やかになり始めていた
「京都…凄いな……」
目の前を歩く人を観察する
驚くことに私の前を髷を結った袴姿の男の人が通り過ぎていった
京都の町おこしは流石だ…コスプレまでして盛り上げるなんて
だけど、あれ、地毛に見えるんだけど…
カツラじゃないよね?
ってことは、髪をおろしたら落ち武者的な髪型だよね!?
あまりの地元愛に感動していると、さっきよりも日が高くなっている事に気づいた
スマホを取り出すと既に7:00を回っている
「げっ、朝食に遅れる!!!」
ちょんまげから目を逸らして慌てて走り出すと、学校で貸し切っている旅館を目指した
だけど、何かがおかしい
すれ違う人々が何故か私を見てくる
まるで、私が変みたいに…
いやいやいや、こっちからしたら変なのはそっちだからね
目が合っても目を逸らさず、逆にお前らが変だよアピールをしてみるが、反応は変わらない
だって、みんな着物や袴姿なんですけど…
昨日はこんなじゃなかったから、何かのイベントでもあるのかな?なんて考えているうちに旅館に着いた
旅館の入口では、これまた着物姿の女性が箒で掃除をしている
「おはようこざいます…」
「おはようさん」
にっこりと微笑まれたため、曖昧に微笑み返す
「かわいらし。朝早うに何やご用?それにしても、そんなり…」
じーっと上から下まで観察される
私…何か変?
「あの…実はこの旅館に泊まっているんですけど、宮台高校の朝食はどこのお部屋ですか?」
「宮台…こうこう?」
こてん、と首を傾げる女性に戸惑う
あれ?
困って固まっていると、後ろからがっしりと肩を掴まれた
「おい、女。邪魔だ、どけ!」
ぐっと後ろに体を引っ張られたため、よろけた
イラっとして、声の主を睨む
相手はこれまたコスプレをしたイカつい大男だった
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