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ひゅ~…ドンっと音がなる。
それは胸の奥まで轟くほどの衝撃。
「たーまやー!」
隣に座る光晴が負けじと大きな声で叫ぶ。それを横目で見ていれば夜空にまた大きな花が咲く。
「あ!見た見た?今の花火ウサギだったよ!」
かき氷片手に夜空を指差す銀河に苦笑しつつ、大きな音に時折ビクッと身体を震わせながら夢中で見入っている雪兎に微笑する。
「…ふはは」
不意に俺が笑えば三人とも不思議そうにこちらを見つめる。その表情がまた可笑しくて笑える。
「お、おい…どうした?」
光晴が心配そうに問う。
俺は呼吸を落ち着かせてから訳を話す。
「いや、ただこうして皆さんと花火見てる自分がちょっと可笑しくて…去年までは祭りなんて興味もなかったのに」
いつも人を避けて過ごしていた。
会うのは仕事に必要な人達だけだった。
「昔の私じゃあ考えられません」
それが5月にシェアハウスへ引っ越してから自分の交友範囲が驚くほど広がった。
その話を聞いて光晴と銀河がニヤニヤし始める。
「神郷ちゃん最初はすっごくツンツンだったもんねぇ」
「まぁ、今でも敬語が抜けない所は変わんないけどな」
2人の言葉にムッと眉間に皺を寄せれば「それがツンツンなんだよー!」と笑われる。
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