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「…………」
ヒロトは、敵兵らしいその人物の言葉に従わず、ショットガンを手にしたままゆっくりと振り返る。
乗り込んで来たのは、やはり敵兵だった。
マナトース軍の象徴である赤い軍服を身に纏った、敵兵。
人数は三人。
ヒロトは動じることなく、感情を纏わない無機質な眼差しで、三人の敵兵を見据える。
そんなヒロトの情味を帯びない表情に、ひやりとした悪寒が走った敵兵達は、一斉にヒロトへ銃口を向けた。
「武器を捨てろと言っているんだ。言う通りにっ……」
「お、おい!!」
どうやら敵兵の一人が、ヒロトの足元に転がっている遺体、味方の無残な姿に気付いたらしい。
「……っ。き、貴様……!!」
銃口を向けている敵兵もそれに気付き、みるみるヒロトへ憎悪の感情を剥き出しにして行く。
「くたばれ!! ソルメシアの犬が!!」
銃弾がヒロトの頭部に向かって放たれた。
だが……――
「!?」
ヒロトの身体が白い光を帯びたかと思うと、キィンッと言う音を立て銃弾を弾いた。
「な、ぜ……。どういうことだ……?」
驚愕する敵兵達。
とそこに――
『こちらB5班! B4班応答せよ!!』
遺体の腰に付けているトランシーバーから、通信が入ってきた。
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