746人が本棚に入れています
本棚に追加
/708ページ
『くそ……!! この歌は何だ!? どこから発生して……あぁちくしょう!! ソルメシアの奴等だ!! くっそっ……弾丸が効かねぇ!! この歌……この歌のせいなのか!? この歌が奴等を不死身にしているのか!?』
「はは……不死身、ねぇ」
トランシーバーから発っせられた単語に、ヒロトは顔を歪ませ笑う。
誰もが一度は口にする言葉だろうが、死と隣り合わせにあるこの状況下では、些か不気味な響きだ。
生死、その世界の理から外れている、そんな気がして――
敵兵達は、トランシーバーから伝わって来た情報に困惑とも恐怖とも取れる表情で、一人笑みを浮かべるヒロトとトランシーバーを交互に見遣っていた。
地獄だろう彼等にしてみれば。
生と死の駆け引きしかないこの戦場で、不死なんて理不尽な肉体の差を見せつけられているのだから。
『B4班頼む!! 至急応援をっ……!! や、やめろこっちへ来るな!! うあ、ア……アアアアアァ!!』
発砲音と断末魔を最後に、ブツリと通信は途絶えた。
「ふ、不死身……? この歌のせい……? まさかスペルマ・ルーナ……!? けれどこんな広範囲のスペルマ・ルーナなど……!! っ……くそ!!」
再び放たれる弾丸。
今度は一斉に、しかも連謝弾だった。
だがヒロトの身体はその弾丸を全て弾く。
「あ……ぁ……」
まさか、予想だにしない出来事に言葉を失う敵兵達。
ヒロトはそんな彼等へ、呆れた様に「はぁ……」と溜め息を一つ。
「不死身? 何言ってんの?」
ショットガンを敵兵達へ構える。
「不死身なわけないじゃない」
射程距離が短い散弾でも、この距離だ。
まず致命傷は免れないだろう。
それを敵兵達も理解しているらしく、青ざめた顔で「ま、待て!!」とヒロトを思い留まらせようとする。
最初のコメントを投稿しよう!