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「暑さに気を取られるな!! 目前の敵に意識を集中させろ!!」
じりじりと太陽が照り着くカルテナ砂漠に、凛とした女性の声が響き渡る。
開始された奏術技特化訓練。
奏術技とは、幻想文学書などで良く使われる、魔法の様なものだ。
超常現象を起こすと言った点で、奏術技は魔法とそう変わらない。
だが変わった点を上げるとするなら、魔法と言うものが基本、火水風土の四大元素と言った自然を用いるのに対し、奏術技は術者の想い、すなわち心想音を用いて発動させると言う点だ。
この広大な砂漠の中、そんな奏術技特化の場に選ばれたのは、ヴォルテナ郊外から離れた、ヨーウィーと言う魔物の縄張りだった。
ヨーウィーとはトカゲの身体に六本もの虫の足を持つ、体長1.2mの魔物だ。
この縄張りには、見ただけで多くて三十匹くらいはいるだろう。
本来ヨーウィーは夜行性だが、縄張りに侵入したことで逆鱗に触れてしまったのだろう。
素早く動き回り、ヒロト達隊員に容赦無く襲い掛かって来る。
訓練の趣旨は奏術技を用いて、全てのヨーウィーを殲滅させろ、とのことなのだが……。
(無茶言うわー……)と、ヒロトは汗を拭いながら、隊員達に葛を入れている金髪のショートボブに、白い軍服を身に纏った女性を恨めしそうに見る。
彼女の名はナギサ・アルティミシア。
第二部隊白亜の総司令官であり大佐だ。
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